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「レイクタウン」に程近い「堤防の空白地帯」の堤防工事が完成間近〜2023年6月の記録的豪雨を教訓に

昨年2023年6月2日の記録的豪雨から早くも1年以上が経過したんですね。

「越谷市」全体で内水氾濫による甚大な被害が発生した記憶はまだ新しいかも知れません。加えて「中川」での氾濫危険水位越え連発の異常事態についても…

その脅威を解消すべく行われていた緊急工事。そう「レイクタウン」に程近い「中川」と「元荒川」の合流地点にある「堤防の空白地帯」での「新しい堤防」の完成がいよいよ近づいてきました!!

新しい堤防の盛土が「吉川橋」から「中島橋」の橋台へと繋がった!!

この新しい堤防工事の正式名称は「R5中川右岸東町先堤防整備工事」と言いまして、件の豪雨を被害を繰り返さないことを目的とした「中川・綾瀬川緊急流域治水プロジェクト」の一環として行われているものです。

甚大な浸水被害が発生した中川・綾瀬川流域の県下流部(春日部市、草加市、越谷市、八潮市、三郷市、吉川市、松伏町)の被害の軽減を早期に図るため、国・県・関係6市1町が連携しプロジェクトを立ち上げたわけです。

2024年10月中旬の工事現場の様子はこんな感じ。

綺麗に法面が整備された盛土が出来上がっておりました。

近くには護岸用のブロックの姿も見られ、工事が大詰めであることを示しています。

本工事の工期は2024年の12月20日頃までとなっており、順調に推移すれば新年を待たずに完成を目の当たりにすることができそうですね。

となると非常に気になるのがこの新しい堤防の仕様ですが…

新しい堤防の仕様


※画像出典「元荒川・中川合流箇所の堤防整備工事のお知らせ」@現地看板


築堤高:最大約3.2m(護岸および植生)
計画堤防天端幅:6.0m(アスファルト舗装)
※図中の「▼HWL AP+4.775m」とは荒川水系での過去最高水位(基準水位から+4.775m)の位置を示しています。

つまり、新しい堤防の仕様上のポイントを要約すると「元荒川の過去最高水位の2倍超の高さを有する、高さ約3.2mの堤防」ということです。

このスペックならば、相当な豪雨でも越流の心配はないでしょう!!

【2024年9月7日】台風の接近に備えて工事を急ぐべく終結したダンプトラックの図。

「元荒川」左岸から望む、新堤防と「中島橋」の接点。重厚な盛土が施されているのが分かりますね。

今一度おさらい:2023年6月3日の記録的豪雨とは?

そも、例の豪雨について知らんよという方のために説明しますと…

2023年6月2日から3日かけて発生した記録的豪雨は、日本各地に甚大な被害をもたらしました。この期間、特に西日本から東日本にかけて広範囲で豪雨が続き、各地で洪水や土砂災害が頻発しました。この豪雨は、梅雨前線の活発化と、気候変動の影響による異常な気象パターンが絡み合い、異常な降雨量を記録しました。

特に「越谷市」では床上浸水が600件、床下浸水が2,529件と、隣接する市町と比較しても群を抜いて被害が多く、その被害の原因のほとんどが「内水氾濫」すなわち、本来は雨水を排出するはずの河川が一杯いっぱいで、住宅地に水が溜まってしまう現象によるものです。

河川自体の氾濫は免れましたが、市東部を流れる一級河川「中川」では氾濫危険水位を超えました。

本記事で紹介した「元荒川」との合流地点においては当時、堤防が一部未整備な部分が存在したため、越流(川の水が堤防を越えて流れ出ること)寸前に達したということです。ちなみに「レイクタウン」との距離はわずか600メートルほどしか離れていません。


↑中川の水位が氾濫危険水位を超えた2023年6月3日2時ごろの「吉川橋」の「越谷市」側のたもとの様子捉えたライブカメラの映像。(「X」のポスト)



↑最高水位を図示したもの。「吉川橋」の橋桁のすぐ下まで水が達していた。



2023年6月ごろの「堤防の死角」における最高水位を図示したもの。



↑越流を防ぐために急遽設置された土嚢

通常は実現まで十数年単位の時間がかかる堤防の工事がここまで迅速に実現できたのは、冒頭でも述べた通り「国土交通省 関東地方整備局」「埼玉県」および6市1町の連携の成果であると同時に、実際の建設に携わっていただいた建設企業の努力の賜物です。また、地元「大相模地区&レイクタウン」の「黄川田仁志 衆議院議員」の尽力についてもここに記しておきたいと思います。

関係者の皆様、誠にありがとうございます。

実は今年の8月30日にもプチ脅威はあったんです。その際も先立って作られた「仮堤防」が威力を発揮して事なきを得ました。

1000年に一度の被害を防ぐ堤防工事の一部始終、引き続きウォッチして参ります!!

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