横山純子写真展 「野集」を観に「ギャラリーヨクト」へ行ってきました
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2021年3月6日、「新宿」は「オリンパスギャラリー東京」で開催された、山崎弘義氏の写真展「CROSSROAD」を観たブログ主。
ギャラリーを後にする時に「宜しかったら、こちらの写真展もご覧いただけませんか?」と山崎さんに推薦されたのが本記事でご紹介する、横山純子さんの写真展 「野集」です。
古くて新しい写真技法「サイアノタイプ」が写し出す、野の植物の生き抜く力
山崎さんの頼みとあっては、そりゃ観に行かないわけにはいきませんね。
「オリンパスギャラリー東京」ある新宿西口から「新宿通り」をてくてくと歩いて、コロナの影響で少し人通りが減ったかな?と感じる「四谷三丁目」の「ギャラリーヨクト」へ。
最早見慣れた裏通りに、その看板を見つけました。
「女子美術大学」の講師を、昨年2020年に退官され、あらたに「ギャラリーヨクト」のメンバーに加入されました。
おお! 深い紺色を背景に白く浮き上がった野の植物の姿。その息づかいがシンプルに力強く伝わって来ますね。
いわゆる「植物の緑」を排することで、逆に草花の持つ生命の息吹が生々しく感じられます。そう、レントゲン写真が人間の生命現象を嘘偽りなく写し出すアレに似ています。
あるいは天体写真のように、そこに映るのは色彩よりも映像の明暗であるが故に、作品を観るものの想像力が掻き立てられるというか…。
そして、作品を拝見して思ったのは「これは写真?藍染なのかな?もしかして版画?」という疑問。
作品が写し出されているのは、いわゆる「写真」の紙焼きで使われる印画紙でも、デジタルプリント用の光沢紙でもなく、水彩画でよく用いられるコットン紙。
横山さん曰く、これは「サイアノタイプ」という技法なのだそうです。
「野集」
・・野を集めたフォトグラム&サイアノタイプ町の周辺で「野」を感じて惹かれた植物を写し撮った、フォトグラムとサイアノタイプを展示いたします。
それらの植物はどこにも属さず、言うなれば自然そのものに属して繁殖した野性の体をしています。環境に即して生きながらえる植物が織りなす有機的な明暗に、私たちが忘れかけている生き延びる強さと美しさを感じます。自然と混じり合うように、植物のいる空間を写し撮りました。
近年進化したデジタル写真は、携帯電話のカメラ機能も格段に良くなって、カメラを持たない人も増えています。その事で写真を撮るという意識が変容しているように感じます。このような時代にカメラを用いずにフォトグラムの技法を用いたり、印画紙も自分で作るサイアノタイプで表すことで、写真の不思議さや面白さを改めて感じたいと思い取り組みました。
「サイアノタイプ」という言葉を不学にして知らなかったブログ主。年配の方ならば「日光写真」あるいは「青写真」と言えばすぐお分かりだと思います。
鉄塩を用いた感光液を紙に塗布して作られた観光紙に紫外線を当てると、光が当たった部分が色濃い青に発色する現象を用いた技法です。
カメラの発達と共に、次第に使われなくなった古い技法ですが、最近はその独特の美しさが見直され、密かなブームになっているようです。ご自分でもやってみたいという方はこちら。
越谷市の大袋在住の横山さんは自宅近くの草むらや(越谷レイクタウン近くも流れる)「元荒川」の土手などに赴いては、自作の感光紙を取り出し、植物をその上にかざして撮影を繰り返したそうです。(当然にカメラは使いません。)
いわゆる一般的な「日光写真」では被写体と印画紙を密着させるために、撮像に奥行き感はありませんが、横山さんのスタイルは生えている植物そのものの影を写撮るために、躍動感のある作画が可能になっているのですね。
そして家に帰ってお風呂場のシャワーでさっと感光紙を洗い流して定着。
まさに「フィールドワーク」!! いつかその一部始終を取材させて頂きたいです。
【作者略歴】
横山 純子(よこやま すみこ)
埼玉県生まれ
女子美術短期大学造形科グラフィックデザイン卒業
放送大学教養学部人間と文化コース卒業<個展>
1996年「Sumiko Yokoyama photograph イメージの表皮」ギャラリー青山
2008年「群葉:foliage from omotesando」ギャラリー同潤会
2020年 退職教員記念展「yokoyama sumiko」女子美ガレリアニケ※他、グループ展、美術展多数
※親子写真セミナー、写真ワークショップなど開催
↑こちらは銀塩写真の技法で撮影された作品。
次回作もちょっと楽しみなブログ主。引き続きウォッチしてまいります。
(次のページ:「ギャラリーヨクト」にまつわるエトセトラ)
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